マイナースポーツにハマった話
スヌーカーって知ってる?
スニーカーちゃうよ
ビリヤードと同じキュースポーツの一種やねんけど、ビリヤードとは全然違う競技やねん
イギリス発祥で本国含めて世界的にかなり人気があるんよ
ただ日本人じゃ経験者どころか聞いたことある人ですら1割もおらんレベルやと思う
日本じゃドマイナーもドマイナーなんよな
都内でスヌーカーができるところは4店舗、専用のテーブルは全部で8台って言えばどんだけマイナーかわかってもらえるかな
対してビリヤード場は都内200店舗で合計900台超やし、恐らく一番数が少ないであろう秋田県ですら少なくとも7店舗21台は存在する
この差よ
とはいえとにかく楽しい
わたしとしてはビリヤードなんか比にならんくらいおもろいと思ってるし、プレイも観戦も両方ハマった
ただ正直プレイするってなると環境も限られるし単純に超絶ムズいってのが難点
観戦だけでも十分楽しめる(というか観るだけのスポーツなんていくらでもある)からみんなも観ようね
今日はそんなスヌーカーのお話
じゃあそのようわからん競技がいわゆるビリヤードとどう違うんかっていうと、これが何もかも違う
逆に共通点は
- テーブルに6つ穴があって
- キュー(棒)で手玉(白い球)を撞いて
- 撞いた手球を的球(手球以外の球)に当てて的球を穴に入れる
- 球が入らないorファールで相手に交代(球を入れ続ける限りはずっと自分の番)
- 既定のフレーム数プレイして相手よりも勝利フレーム数が多い方が最終的に勝ち
っていう根本的なところくらいで、道具もルールもほとんど別物
例えば道具でいうとテーブルはビリヤードと比べて縦横それぞれだいたい1.5倍やし(初見で「縮尺バグってね?」ってなる)、そのくせボールは一回り小さくてポケット(穴の入り口)も狭い
ボールが小さくて軽いからそれに合わせてキューも軽くて先端が細くなってる
そのせいでとにかくめちゃくちゃ難しい
ビリヤードやったときに50%の確率で球を入れられる技術があるとしたら、スヌーカーじゃ25%かそれよりも低くなるくらいにはマジで入らん
使うボールは
- ビリヤード: 直径約57mm、9~15個(ルールによって数が異なる)
- スヌーカー: 直径約52mm、21個(レッド●×15、イエロー●×1、グリーン●×1、ブラウン●×1、ブルー●×1、ピンク●×1、ブラック●×1)
※手球を除く
スヌーカーボールは数字もなければストライプもなくて全体が一色になってる
ルール・試合運びに関しても全然違う
ビリヤードはいくつかルールがあって、中でもナインボールってのがメジャー
- 1~9+手球、合計10個のボールを使う
- 撞いた手球はまず最初に「場に残ってる球のうち最小の数字が書かれた球」に当てないといけない※入れるのは別の番号でもいい
- 9番を入れさえすれば(それ以前に何球入れてようが関係なく)そのフレームは勝ち
極端な話、例えばテーブル上に1から9が全部残ってる状態で、手球を1番に当ててその1番が9番に当たって9番が入ってしまえばすぐにそのフレームは勝利ってことになる
とにかくシンプルで楽しみやすい
それに対してスヌーカーはかなり複雑で
- 7色の球それぞれにポイントが決められてて(レッド、イエロー、グリーン、ブラウン、ブルー、ピンク、ブラック、順に1~7点)、入れたボールのポイント数を加算していく
- 自分の番が回ってきたらまずはレッドを狙い、入ればその後他の6色のうち任意の球(カラーボール)を狙って入れる※ただしビリヤードとは違い最初に当てる球と穴に入れる球は同じ色でなければならない
- カラーボールは入れられたら所定の位置に戻る※下図参照
- 以降、レッド→カラー→レッド→カラー→…と続ける
- 15個のレッドが全て入れられると、残りのカラーボールを点数の低い順に入れていく※このフェーズではカラーボールは戻さない
- 球がテーブル上からなくなった時点でポイントの高い方がフレーム勝利
っていう感じ
特定のボールさえ入れれば勝ちのビリヤードに対して、スヌーカーはポイントを積み上げてく方式やから全然違うでしょ
それともう一つ、スヌーカーを語るうえで絶対欠かせへんのがセーフティ
配置的に球を入れられへんときは相手にとって難しい配置になるようにショットすることになるんやけど、これをセーフティっていうんよ
セーフティ自体はビリヤードでも使われる手段やねんけど、スヌーカーでは重要度が段違い
テーブルが広いから入れられへん配置になる確率も高くなって必然的にセーフティすることになるわけ
スヌーカーの方が頻出するしセーフティスキルは勝つためにはめっちゃ大事になってくる
例えばこの動画の4:47~
最初にレッドに当ててから手球をイエローの裏に隠すことで相手が直接レッドを狙えへん(壁で跳ね返らせてからレッドに当てなければならず難易度が高い)ようにしてる
こんだけ広いテーブル上で的球を狙った場所に動かすだけでもムズイのに、弾かれた手球の軌道まで読んでこの狭い隙間に持ってくるのは神業
ここまで綺麗に真後ろに隠すまではいかんでも、クッション際に手球を持ってきて撞きづらくしたり、単純に距離を離して難易度を上げたりって場面は何度も出てくる
こんな感じで自分に有利なように試合を進めるんよ
話はちょっと変わるけど、スヌーカーでは最高得点が決まってて、
(● + ●) × 15 + ● + ● + ● + ● + ● + ●
= (1 + 7) × 15 + 2 + 3 + 4 + 5 + 6 + 7
= 147
つまりこの147点が(滅多に起こらないイレギュラーを除いた)最高得点
同じ考え方で、任意の時点でテーブルに残ってる球の数をもとに、その時点から獲得できる残りの最高得点も算出できる
(● + ●) × [残りのレッドの数] + ● + ● + ● + ● + ● + ●
例えばレッドが1個残っている状態から取れる得点は最高35点って感じ
実は面白いのはここから
話をセーフティに戻してさ
セーフティは「相手にとって難しい配置にする守備の戦法」って言うたけど、実はスヌーカーではファールした場合はペナルティとして相手に4~7点入るんよ
つまり残りの最大得点以上に点差が開いててもセーフティで相手のファール誘うことで逆転を狙う局面が結構出てくる
なんならスヌーカーは試合運びとしてセーフティでファールさせて自分に点数入れるんを前提にしてるまである
これとかかなりすごい
Fuが76点に対してDayが28点
差は48点やけど残りは最高でも35点しか取れへんから13点足りん状態
Dayはレッドを入れられる状況でもあえてセーフティを選択して、Fuに何度もファールさせることで不足分のポイントを稼いで最終的にはこのフレームに勝ってる
一般的には12点以上不足してれば降参して次のフレームに切り替えることが多いからここまでの大逆転はそうそうないけど、5点10点程度なら諦めずにプレイすることが大半やし逆転自体は珍しくない
もちろんこんな感じで必要に迫られてセーフティでファールさせることもあるけど、大半の場合は相手のミスを狙ってすることになる
ファールにこそならなくてもちょっとしたズレで自分に有利な配置で回ってくるからやっぱりセーフティは大事
個人的には1回で高得点叩き出して一方的に勝つよりもネチネチしたセーフティ合戦の末にちょっとしたミスから試合が動くみたいな展開の方が好きやし、それこそがスヌーカーやと思ってるんよ
球を入れてポイントを獲得するのが攻めやとすれば、セーフティは守り
この攻守を使い分けた戦略性の高さこそがスヌーカーの醍醐味なわけ
色々書いてた想定よりもかなり長なってもた
まあ実際のルールではもうちょっと詳しく知っておくべきこともあるんやけど、だいたいはこんな感じ
どう?気になってきたやろ???
とりあえず試合観てみようや
matchroom.liveで生配信されてるんやけど、スヌーカーの主要トーナメントはほぼ全部無料なんよ
会員登録さえすればタダで観られる
ちなみにいまやってるジャーマンマスターズは優勝賞金£80,000(1,100万円超)っていうかなりデカいトーナメント
対戦カードは
世界ランク1位JuddTrump vs Juddとはジュニア時代からの親友、世界ランク14位Jack Lisowski(トーナメント優勝経験無し)
実はこの2人、ついこの前の年末のトーナメントでも決勝で当たったんやけど順当にJuddが勝ったとこ
Jackにとっては前回のリベンジがかかってるのはもちろん、長年のライバルに勝利してプロとして初のトーナメントトロフィーをゲットできるかがかかってる漫画みたいなムネアツ対決なんよ
今晩22時に生配信スタートやから観ような
アーカイブとかダイジェストでいうとWorld Snooker Tour - YouTubeにも色々あるからそっちでもどうぞ
仲間が増えますように